秀逸な話

秀逸(言いたいだけ)な話。

御殿場の秀逸な話

カレーの果実

なんやかんやで同棲開始。withタナカ。

同棲したことにより、若干通勤時間が長くなったこともあり、最短の帰宅時間は21時前。

帰宅時間の関係から、思うようにカレーが作れずに降り積もるフラストレーションをガンジス川に流したい。

 

スパイスカレーに通づるインドカレーの味の決め手は玉ねぎのコク。あと、塩の加減。

玉ねぎを炒める時間によって味が決まると言っても過言ではない。玉ねぎ以外でコクを出そうとするとトマトくらいか。乳製品を入れるカレーならヨーグルトも当てはまる。

 

味のエース、玉ねぎのコクを引き出すためには玉ねぎをじんわりと弱火で長時間炒めなければならい。時間にして30分〜40分程度はかかる。

毎日21時頃に帰宅して、玉ねぎを40分炒めてカレーを作っていては体がもたない。

更に言うならば、具材の下ごしらえ、具材の炒め、煮込みまでのトータル時間はおおよそ1時間10分。カレーを食べようとすると時計の針は22時を指している。みたいなことになる。アカン。やっぱり体がもたない。

 

現実はいつだって苦しい。

 

ただ、私は天才なので閃いた。時短調理法を閃いた。

 

あらかじめ玉ねぎを炒め、炒めた玉ねぎを冷蔵保存しておけばトータルの調理時間を30分に短縮できることに気づいた。気づいてしまった。気づける側の人間だった。

そこで、日曜日に玉ねぎ(大サイズ)を6個ほど粗みじん切りにし、スパイスをテンパリングした油に投入。そこからは、赤子をあやすかのように、ある時は、コンロの番人のように炒め続けた。妥協せずに自分が納得するまで、理想のカレー色になるまで玉ねぎを炒め続けた。まるで、1つの大作を完成させたようなおごそかな感触を味わった。 

 

ごちるりと余韻に浸りながら、粗熱を取り、炒めた作品をタッパーに2つ分け、冷蔵庫に納品した。上段部に。

胸の内では「来週からも、ほぼ毎日カレーが食べられてオレはなんて幸せなんだろう」と考えていた。幸せはすぐそこにあった。

 

日曜日は疲れていたため23時前に寝た。

寝る前に「寂聴さんはまだ晩飯(もちろんカレー)を食べてないなぁ。この時間ならメシは食べんでしょ。明日食べるでしょ。」と思いながら、カレー(もちろんカレー)をラップに包んで冷凍庫(冷蔵庫はカレーではない)に入れた。上段部に。その後に寝た。

 

久しぶりに長時間寝たので体調が良かった気がする。ブルーマンデー

起床時間は寂聴さんと一緒。起きて寂聴さんとダラダラしながら喋っていると、どうやら昨夜のうちにカレーを食べたらしい。とても油っぽかったと話す。

「遅い時間に油もの食べるの良くないよー」なんてヘラヘラ笑いながら冷蔵庫を開けた。

と、すると。異変に気づいた。

 

日曜日の夜、上段部に納品したはずのタッパーが1つ無くなっている。しかも、寂聴さんが食べたはずのカレーがラップに包まれて鎮座している。

 

つまり、こういうことだ。

 

日曜日の夜、私が寝たあとに寂聴さんは冷蔵庫からカレーを取り出しカレーを食べた。

食べたはずだった。しかしながら、寂聴さんが食べたカレーはカレーではなく、スパイスの風味がする炒めた玉ねぎだった。

あろうことか、私が妥協せずに自分が納得するまで、理想の色になるまで炒めたカレー色の作品が悲劇を生んでしまった。

 

ちなみに玉ねぎは6人前くらいの量があり、よく完食したなと思った。

 

しかしながら、6人前の作品がこの世から姿を消したのは事実。平日カレー計画は失敗。パンの耳をかじるしかない。死を覚悟。

 

その反動からか、昼飯にカレーを食べないと右手が震えたり、無気力・情緒不安定などの症状に襲われるようになってしまった。

 

カレーの連続摂取日数は最高62日。

カレーの摂取連続回数は最高21回(毎食カレー×7日間)

上記の実績があるので、悲劇や計画の頓挫に負けず、カレーを食っていきたい。

 

これを読んでいる人で同棲を考えてるいる人がいるなら1つだけアドバイスを送りたい。

冷蔵庫にタッパーを入れる際、タッパーの蓋には内容物の詳細を記載した方がいいですよ。これはオレとの約束だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツイッター