我が家に新しい家族ができた。
名前は「将太」。
豆苗だ。
31年生きてきて、初めて豆苗を食べた。豆苗が入った袋を捨てようとしたところ、袋の裏面にイラストが描かれていたので、捨てるのをやめ、イラストをじっと見たところ、文章も記載されており、どうやら、根元があれば豆苗は再生するので1~2回お楽しみ頂ける、と記載されていた。
驚愕した。今まで食べてきた野菜は、根元を残して食べても再生はせず、再度、楽しむことは無かった。ライブと同じように「終わらないでくれ」と思いながらも、食事を進めれば野菜は終演へと近づく。
しかしながら、ザ・豆苗ズはアンコールに応えることができる。恐らく、本番でのセットリストを演じる際にベストパフォーマンスを見せながらも、アンコール用の体力を管理できるタイプだろう。
これが逆だとどうなるか。アンコールが予定されているにも関わらず、本番で体力を使い切って本番を終える。くたびれながら楽屋に戻り、客席からのアンコール声援が耳にこだまするも、手足は動かず、心ここにあらず。狼狽。頭の中は打ち上げのことばかり、みたいになってしまうかもしれん。
そんなこんなで、タッパにザ・豆苗ズの根元と水道水をセットし、陽当りのいい場所に置き、育成することにした。
我が家で過ごすザ・豆苗ズの1日目は、根元の断面ばかりで空虚。見ているこっちもなんだか虚しいので、起床の際に「おはよう!いい朝だね!朝ごはん食べようね~!」なんて爽やかに声をかけながら、水を入れ替えた。
以前、知り合いに「植物を育てる時には、声をかけた方がいい。音楽も流してあげるといいらしい」と聞いたことを思い出し、ザ・豆苗ズに声をかけた。完全に気のせいだけど、ザ・豆苗ズは僕に微笑んでくれた。
2日目になると1本だけ5センチくらいに伸びていた。他の芽は1センチくらい。これが社会であれば「出る杭は打たれるヨ」なんて言われるんだろうか。
ただ、この1本だけ伸びた光景をどこかで見たことがある。あれだ。思春期にチン毛が生えて、生えそろってない時だ!と。デジャヴだった。
つまり、将太は中1とか中2、そこらへんの思春期中学生まで成長したってことだろう。「いいや、俺は小6で生えた!」とか「毛が生えてませんでした」とか苦言が飛んでくるかもしれんが、思春期ということにしといて欲しい。一生のお願いだ。
思春期であれば、反抗期である。つまり、パンクやメタルを聞いて「俺は他のヤツと違う!」「大人に反抗したる!」みたいなこともあるわけで。どうせ音楽を聴かせてあげるならメタルがいいだろうと思いスラッシュ四天王の一角である「Megadeth」の「Rust In Peace」を日中に流している。他のスラッシュ四天王も流したほうがいいかな?と悩んだものの「芽が出る(出す)」とかけて、Megadethにした。オレが息子ならグレてるかも分からん。
本日5日目。何気ない声かけやMegadethの効果で、他の芽もすくすくグングンと伸び、平均13センチくらいに育っている。日本人の平均チン長くらいっすね。想像しやすい。さすが我が家族。思いやりがあって大変よろしい。
そんな、ザ・豆苗ズ、こと「将太」には、病気などせずに大きく育って、長生きして欲しいと日々、願っている。豆苗の収穫時期は、育成から7~10日後らしいので、収穫が大変楽しみです。